しろくまのアトリエ

根回し下手の植物好き幼稚園教諭がビビッと来たことについて書き連ねるブログ

siriと会話する少女

幼稚園の4月というのは怒濤の忙しさを極める

 

進級した4歳、5歳の子供たちは新しい環境に慣れるまで、しばらく落ち着かない日々が続きます

 

しかし、何よりも大変なのは新しく幼稚園にやってくる新入園児たちです

 

人、もの、環境、全てが新しく、子供たちは緊張と不安と少しばかりの期待の渦に飲み込まれるのです

 

 

ぼく自身は5歳児の担任をしているのですが、子供たちも比較的新しい環境に慣れるのは早く、また自分のことはある程度自分でできるようになっているので多少なり安心して見守ることができます

 

そのぶん、時間的余裕も生まれるので、大変そうな新入園児のいるクラスを手伝うことも多く、必然的にそこにいる子達と関わる機会も多くなります

 

今回はそんな中のエピソードを少しだけ

 

 

 僕の勤める園では、幼稚園に慣れるために、入園式の前に予備登園というものを行なっています

 

そこで僕はある新入園児のクラスに 手伝いとして入ることになりました

 

当然のように、クラスの中には母親と離れた寂しさから大泣きする子どもたちや初めて見るおもちゃや絵本に興奮して走り回る子どもたちで溢れかえっています

 

 

そんな中で

ある1人の女の子がずっと泣き続けていました

 

お花が好きなのでこの子を仮に花ちゃんと呼びます

 

 花ちゃんはお母さんと離れるのが寂しくて寂しくてたまらず、目から涙が溢れます

 

たまたま花ちゃんをまかされた僕は

お母さんを探しにいくという名目で園内を散歩することに

 

そこで園内に咲く花を見つけては摘み、見つけては摘み・・・

 

そんなことを繰り返す間にだんだん笑顔が戻ってくる花ちゃん

 

最後には

「このお花、お母さんにあげるんだー!」

とにこにこで帰っていきました

 

そんな花ちゃんは、予備登園のこともあってか、僕のことを気に入ってくれたらしく、園内で見つけると走り寄って来てくれます

 

自然も2人で過ごすことも増えました

 

花ちゃんは花だけでなくスマートフォンにも興味を示して、よく僕のスマートフォンを使って遊んでいます

 

特にお気に入りがSiriです

下の写真は花ちゃんがSiriとやりとりした時のスクショです

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全然会話は成り立ってません

 

が、本人はいたって嬉しそう

 

しばらくSiriとのやりとりを続けていました

 

その後も花とSiriで機嫌を良くした花ちゃんは、僕と手を繋ぎながら園内のあちこちを楽しそうに回っていました

 

 

しばらくしてそろそろお昼ご飯だなという時間になったので、花ちゃんに声をかけると

 

いや!(部屋に)入りたくない!

 

と口をとんがらせます

 

おい君さっきまで反対のことを言ってたじゃないか

 

と言葉が出そうになりますが、どうにかして部屋に戻ってもらおうと、あの手この手を使いますが、聞き入れてもらえず

 

 

ほとほと困り果てた僕は、「よし、切り札を使おう」と花ちゃんの大好きな花をダシに使って

 

「ねえねえ花ちゃん、さっき摘んだ花をさ、リボンで綺麗に飾ってみない?」

 

と声をかけるとパーっと顔が輝いて

 

行く!と部屋に向かって走り出してくれました

 

よかったよかった、これで安心と部屋に戻ってリボンで花束を作り

 

「じゃあ、また後で遊ぼうね!」

 

と、自分のクラスに戻ろうとすると、

 

「だぁぁぁぁぁぁめええええええええ」

 

と花ちゃんが大号泣

 

お昼ご飯食べたらまた来るからさ!

 

あとでまたお花摘みしようね!

 

あ、お昼ご飯美味しそうだよ?

 

 

とあらゆる言葉をかけてみるものの花ちゃんは泣き止まず

 

 

 

それに気づいた花ちゃんのクラスの先生が

 

「花ちゃん、先生と一緒にご飯食べよう」

 

と声をかけてくれました

 

すると花ちゃんが言い放った一言

 

 

 

 

「ぴぴっ!上手く聞き取れませんでした」

 

 

 

 

わかりますか

 

Siriが音声認識に失敗した時に放つあのセリフです

 

しかも大号泣しながらも

ぴぴっ

って口で言ってました

 

思わず僕も担任の先生も大笑い

 

んー、子どもって本当にこういう風に大人の想像を遥かに飛び越える姿を見せてくれるから、面白い

 

 

 

結局その後は花ちゃんは泣き止まず、僕のクラスまで給食を持って来て一緒に食べました

 

 

 

 

 

 

 

他にも、これは先輩に聞いた話ですが、

 

この時期長い冬を越えて暖かい春を喜び地面に出て来たアリたちは子どもたちの格好の遊び相手になるのですが

 

そのアリたちがエサを探すために行列を作っているのを見つけた3歳の女の子

 

「わぁー!ありさん、こんにちはー!どこに遊びにいくのかな?」

 

とアリたちに向かってにこやかに話しかけていました

 

その女の子はしばらくその行列を眺めたあと、そのにこやかな顔のまま、何を思ったのか

 

 

アリたちを全身全霊の力を込めて踏み潰したのです

 

 そのにこやかな顔のまま

生きるためにエサを探す

必死のアリたちを瀕死にしたのです

 

子どもって時に残酷だなぁ

 

そんな感想を持った僕でした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日でゴールデンウィークが終わりに

 

相変わらずブログを書くのに時間をかけてしまいます

 

このブログもゴールデンウィークが始まる前に書き始めて、やっと今です

 

でも、

千里の道も一歩から

塵も積もれば山となる

 

そんなことわざを信じて続けていきたいと思います

 

近いうちにゴールデンウィーク中に読み終えた3冊の本の感想文も書きたいなと思っています

あとは今日電車に乗っていた時に感じた憤りの話も

 

 

 

皆さま、明日からまたがんばりましょう

 

おわり